​加藤手織牛首つむぎ

​©Katoteori ushikubi tsumugi​

父である加藤改石から引き継がれている​加藤手織牛首つむぎを知っていただくために、全作業工程を公開しています。

 蚕が作る繭には1頭で作る単繭と2頭以上で作る玉繭とがあります。玉繭は2頭の蚕が吐いた糸が不規則に重なり合っているため製糸工程で高度な技術を要します。当社では単繭を経糸に玉繭を緯糸に使用しています。

​玉繭とは

 
 

​のべひき

当社が使用している座繰り製糸機は明治初期我が国に入ってきた形をそのまま使っています。繰糸釜の湯に繭を浮かべ経糸は約単繭80個、緯糸は玉繭約60個から1本の糸をひきだします。糸の太さを揃える技能を要する仕事であり、それらは製糸工の経験から生まれる技術に任されています。

 

​管巻き

 のべ枠から管に巻き取る工程です。古くは1本1本手で巻き取っていましたが、現在は管巻器により1度に12本巻き取る方法を取っています。昭和初期頃に動力に変わり、複数本とれるようになりました。

 

​のべつむぎ

管から引き出した糸にゆるく「より」をかけながら大枠に巻き取り「かせ」を作ります。昭和55年に、手回しから動力に改良しました。経糸約2400m、緯糸約3000mを1かせとし、枠を外してから、乾燥したものを「がらがせ」と呼びます。

 
 

​糸を練る

 生糸はタンパク質であるフィブロインとセリシンの2重構造になっています。セリシンを取り除きフィブロインが絹の感触と光沢を生み出すための作業が精練です。石鹸と重曹を用いて、セリシンを煮溶
かしたあと、糸に残ったセリシンや石鹸をきれいに落とすために水洗いし脱水します。

​糸はたき

​ 糸を何度もしゃくるようにはたいて、1本1本の糸にさらなる空気を吹き込みます。この作業により蚕が糸を吐いた時のうねりを取り戻し配列を整えます。工程の間に何度も行うことにより独特の光沢とふんわりとした触り心地が生まれてきます。

 

​糊付け

 経糸は織り機にかけたとき「うわそ」と「したそ」に分けてかみ合います。その間を緯糸が通るので、口空きをよく(滑らかにして通りやすく)しなければなりません。そのために経糸に糊付けをします。糊の原料は米の粒でありそれを煮込み糊を作ります。糸に手でまんべんなく糊を付けていきます。

 

かせしぼり

 糊付けされた糸を「かせしぼり器」を用いて、まんべんなく糊を絞り取ります。手でハンドルを回し絞り取るきわめて単純な道具であるため、糸に無理な力が加わらずその特性を失わない利点があり
ます。

 

かせくり

 経糸、緯糸ともかせを「ぜんまい機」にかけて小枠に巻き取る工程です。昭和20年代までは1かせずつ手で繰っていましたが、その後動力を用いて、1度に16かせまで同時に繰ることができるようになりました。

 

​整経

 経糸を巻き取った枠を、作成する織物の幅に合わせて46〜54個並べて整経台の大枠に巻き取っていきます。整経したものを織り機にかけるため、巻き取り棒に巻き取ります。このとき糸の緩みを抑えるように、「はたくさ」を当てながら一定の張りを持たせて慎重に巻き取っていきます。

 

​管巻き

 「ぜんまい機」で小枠に繰り上げてある緯糸を、織機にかけるため小さな管に巻き取ります。以前は1本づつ手で巻いていました
が、現在は管巻き機をつかい1度に12本まで巻き取ることが出来ま
す。

 

​機織り

 当社の織機は高機と呼ばれるものを使用しています。「へ」に通した縦糸は両足交互の足踏みにより「うわそ」「したそ」にわかれて口が開き、その中を緯糸を巻いた管を差し込んだ「ひ」が1回飛ぶごとに左手で握った「かまち」で打ち込みます。両手両足の力配分、タイミングが牛首紬の風合いを作り出します。